分類についしじみ漁業が水質浄化に果たす役割
湖沼の富栄養化の原因は陸域から栄養塩の窒素、リンが湖内に流入し、植物プランクトンがその窒素、リンをとり込み、異常繁殖することに起因しています。
ヤマトシジミはその植物プランクトンを餌として体内に取り込みます。そのヤマトシジミを漁獲することは、栄養塩の窒素、リンを湖から取り除くことになります。
私の試算ではシジミ漁業による湖から窒素の系外への持ち出し量は1日に約200kg、1年では73トンもの大量の窒素が湖から外へ除去されていることになります。
一般的に、富栄養化の原因である窒素やリンが湖に流入するのを防ぐためには、下水処理場など大規模な設備と莫大な費用が必要です。
また、一度湖に流入した窒素やリンを除去する有効な手段は今のところありません。
しかし、シジミ漁業は産業として成り立つばかりでなく、宍道湖の水質を浄化するという素晴らしい役割を果たしていますが、この事実は意外と知られていません。
しじみの濾過作用により水質を浄化する役割
さらに、ヤマトシジミは入水管から水を吸い込み水中の植物プランクトンを主とした懸濁物をエラで濾過し、餌として体内に取り込みます。1gのシジミ1個が入水管から1時間に170ミリリットルもの水を取り入れます。
つまり、宍道湖の3.1万トンのシジミは1時間に53億リットルの水を濾過することになり、3日間で宍道湖の水を全部濾過する計算になります。したがって宍道湖の水を濾過することによって水の透明度など高くなり、宍道湖の水質浄化に大いに役立っています。
例えば次の様な実験をするとその濾過作用を実感できます。
植物プランクトンが繁殖し青くなった水を水槽に入れ、その中にシジミを入れると、数時間後にはシジミの濾過作用によって水が透明になります。
ヤマトシジミの漁業による栄養塩の系外への持ち出し、ヤマトシジミ濾過作用などによってヤマトシジミが宍道湖の水質浄化に実に大きな役割を果たしていることをお分かりいただけたかと思います。